委員長挨拶・実行委員

 本セミナーの開催にあたりましては格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
 本セミナーも前回に引き続きWeb開催(オンデマンド配信)となりました。ご参加いただく多くの皆様にご負担とご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます。

  臨床検査としてのマイクロアレイ染色体検査も定着しつつあります。適正に実施されるよう各医療機関ならびに検査センターでも態勢が整えられてきました。しかし、そのマイクロアレイ染色体検査を理解する際の基本は、はやり染色体に関する理解です。

 現在、遺伝医学は臨床医学の一専門領域として確立されましたが、その歩みは1956年のヒトの染色体数の確定(Tjio, Levan)に始まるといわれています。以来、染色体研究は常に遺伝医学のなかで重要な役割を果たしてきました。特にこの20年の染色体分析技術は著しく、マイクロアレイからさらに全ゲノムシーケンスに進化し、染色体を塩基レベルで理解する必要が生じてきました。染色体検査は、その結果が疾患の確定診断に直結するという点で、他の臨床検査とは大きく異なります。従って検査を依頼する側も結果を報告する側も、細胞遺伝学・ゲノム科学の基礎から臨床までを含めた高度な知識と技能が要求されます。マイクロアレイ染色体検査、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)、着床前遺伝学的検査、全ゲノムシーケンスなどは、いずれも細胞遺伝学・ゲノム科学の基礎を理解しなければ対応できない技術です。日本人類遺伝学会は1994(平成6)年度より「臨床細胞遺伝学認定士制度」を発足し、認定士制度規則を作成いたしました。本臨床細胞遺伝学セミナーは、日本人類遺伝学会から勧告された認定士の到達目標に基づき3年間1クールの単位でカリキュラムを編成しています。

  今回も、オプションセミナーとして初心者向けの染色体核型入門とマイクロアレイ染色体検査のデータ解釈入門をオンラインライブで行うこととしました。募集人数が限られていますが、実行委員一同準備を重ねております。尚、講師の先生方には多忙の折、本セミナーのために貴重なお時間を割いていただき感謝に堪えません。厚く御礼申し上げます。

2022(令和4) 年12月
日本人類遺伝学会 臨床細胞遺伝学セミナー実行委員会

実行委員会

■実行委員
 市村 剛(株式会社エスアールエル)
 江口 真理子(愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座)
 大場 大樹(埼玉県立小児医療センター 遺伝科)
 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
 黒田 友紀子(神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
 清水 健司(静岡県立こども病院 遺伝染色体科)
 霜川 修(リッツメディカル株式会社 臨床研究部)
 滝   智彦(杏林大学保健学部 臨床検査技術学科)
 原田 直樹(京都大学iPS細胞研究所 基盤技術研究部)          
 涌井 敬子(信州大学医学部 遺伝医学教室)
■担当理事
 左合 治彦(国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)

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